明けましておめでとうございます。旧年中、皆様には様々ご厚情、ご指導を賜りました。改めて感謝申し上げます。
明治維新から太平洋戦争の敗戦までが77年、そして2022年はその敗戦から77年という、ある意味で節目の年であったと思います。元総理が銃撃され殺害されるという想像だにしなかった出来事も起こりました。3年に及ぶパンデミックに対応して消費者も労働者も事業者もその行動を変容させ、今後、この二度と元の姿には戻らないであろう社会の変容に、政治・行政は対応を求められて行きます。
慢性デフレから脱却できない中、今度は同時に急性インフレが国民の生活を直撃しています。我が国では給料が上がらず、年金給付が引き下げられる中、物価だけが上がっているのです。この物価高は、ロシアのウクライナ侵攻や日米の金利差も影響しているとみられますが、およそ10年に及ぶ出口戦略なきアベノミクス(異次元の金融緩和)から急激な政策変更・ハードランディングは極めて困難であると言わざるを得ません。
秋の臨時国会では総合経済対策と称して総額29兆円もの第2次補正予算が組まれました。しかしその中身は、一部電気料金の引き下げなどを除けば、ほとんど物価高から国民生活を守るものとはなっていません。今はとにかく暫定的にせよ消費税率を5%下げることが唯一の取り得る政策判断だと私は確信をしております。たとえば年間200万円を消費したら、消費税と合わせて220万円の支出となりますが、これが5%の減税で210万円の支出となり、実質10万円の給付を受けるに等しい効果が得られます。この5%の消費税減税に必要な財源はおよそ13兆円(29兆円の半分以下です!)。そして、これによる物価押し下げ効果は4.5%。更なる増税を目論む財務省にとっては「不都合な真実」かも知れませんが、しかしこれは紛れもない真実です。
政府はこのほど、敵基地攻撃能力保有を記した国家安全保障戦略など安保関連三文書を閣議決定しました。これを裏付ける防衛予算の莫大な増額分を増税によって賄う税制改正大綱もまとめました。赤字国債を充てるのか、増税で賄うのか、与党内の喧々諤々の議論がテレビや新聞で報じられていましたが、私に言わせればとんでもない茶番劇です。国民の生命、財産を守るために何が一番必要なのか、まずは外交・安全保障政策についての真摯な議論が必要です。始めに「防衛費2倍への増額」ありきでその財源論だけに終始する議論は、正に事の本質を見誤らせる目くらましに他なりません。
2023年は、私たちの過去の経験則からは予測のできない新たな「時代」の幕開けの年になろうかと思います。しかしだからといって「暗中模索」というわけには参りません。逆に今こそ歴史に学ぶべき時であると思います。過去の同じ過ちを繰り返そうとしている今だからこそ。
2023年 迎春