牧義夫議員は11日、文部科学委員会で小泉首相の出席も得て質疑を行いました。9日の牧議員の質疑のため紛糾したことを受けての出席です。首相が文部科学委員会に出席するのは47年ぶりのこと。議題は2日の衆院予算委員会での首相の質疑を踏まえた上での、義務教育費国庫負担金削減問題についてです。
牧議員は、いわゆる三位一体改革の中での「義務教育国庫負担の位置づけがよく分からない」と指摘した上で、今回の義務教育費国庫負担法の改正で、2005年度に国庫負担金を約4250億円削減するという今回の暫定措置に、「いったいどういう意味があるのか、どこが地方分権なのか」を質問。首相は、「地方にできることは地方に」などとしたため、牧議員は、「色々なフレーズをつなぎ合わせているだけ」と苦言を呈しました。
牧議員は更に、義務教育費国家負担金を約8500億円削減しようとしている政府の姿勢を疑問視し、その額の根拠を質問。首相は、「地方案を真摯に受け止めた」「話し合いの結果だ」などと具体性のない答弁に終始したため、牧議員は2日の衆院予算委の首相答弁(「今回、義務教育の国家負担金の中学校に関わる部分、こういう点については地方にその権限を渡してもいいのではないかと思って、そういう方針を決めて、今年度は約8500億円の中での約半分。今後のことについては中教審等の意見を踏まえ、よく協議していこうという判断をした」)を引用。「本当にあの答弁でいいのか」を尋ね、首相も「それで結構」と答弁内容を確認しました。これを受けて牧議員は、今回の改正案での約4250億円の減額措置は、「中学校分でも何でもない」と迫ったところ、首相は「額として特定はしていない」「中学校分に特定しているわけではない」と、予算委の答弁と全く整合性のない、しどろもどろの答弁を繰り返しました。
牧議員は続けて、「8500億円の根拠は何か」を厳しく質しました。中山文科相は、「まさに中学校の教職員の給与の2分の1だ、4250億円はその2分の1だ」とし、「分かりやすく言えば、(地方案の数字を)借りてきた」ものだということを明確に認めました。牧議員はこの答弁に対し、「どこが(地方案を)真摯に受け止めた結果なのか、数字を借りてきただけではないか」と厳しく断じ、首相は、地方団体は結果について一定の評価をしている、などとしました。
牧議員はさらに小泉内閣の閣僚間の意見不一致の問題なども取り上げた上で、「8500億という数字が単に目の前に転がってきた数字であって、それを借りただけの意味のない、教育論を度外視した数字であるということだけ、確認をさせていただいたことを多とする」と皮肉って質問を終えました。